活用するには
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2022沖縄女子短期大学キャリアアップセミナー

団体名または
代表者名
沖縄女子短期大学 津波古 吟枝
共同実施団体名または実施者名
沖縄地区所属CDA 上里 珠美、松園 あかね、岩井 美洋
実施形式
オンライン
参加人数
13名

実施対象者

沖縄女子短期大学1年生5名
大学の所在する与那原町の役場職員5名、企業2社より3名

活動の背景、目的

2022年6月、文部科学省、厚生労働省、経済産業省「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」の改正により、これまでのインターンシップの考え方が大きく変わった。沖縄女子短期大学では、これまで実施してきたインターンシップを「キャリア教育」と位置付け大学が所在する与那原町内の「行政・企業・大学が協働し、高い就業意識の醸成と自主的・独創性のある人材を育成する」をテーマに学生・役場・企業からの参加者(以下、社会人)が共に学び、町全体でキャリアアップを目指すセミナーとして「キャリアアップセミナー」を実施した。「人生すごろく金の糸」は、最初のプログラムとして使用した。
共通目標として「これまでの自身の経験から自分らしさの把握、メンバーのその人らしさを把握すること(自己理解・他者理解)」を設定し、さらに学生には①ZOOMの操作や発言のタイミングに慣れること②他者に自分のことを話し、受け入れられ安心感を得ること③自分の思う自分と、相手からの印象は異なること等を経験し「自分の意見を伝える力」「チームで働く力」を育むことを、社会人には「これまでの生き方・働き方を振り返り、今後について考える」機会の提供を意図して実施をした。

活動中の参加者の様子、変化

ほとんどの学生は、初めてのZOOM操作や、社会人と話をするため緊張し表情が硬かった。社会人も、初対面で緊張しているようだった。「小学校時代の好きな給食のメニューは?」や「中学校時代の思い出の行事は?」等、年代を超えた共有話題を語るうちに緊張がほぐれ、「小学校時代」を終えた後には皆が柔らかい表情になっていた。また学生は、自分が話す順番が予測でき、操作を確認しながら行うことができることからワーク終了後にはZOOM操作への不安感が減少していた。「私の金の糸」で、同じテーマでも自身と他者との感じ方は違うことを実感したことで、実施後の感想では「新しい自分に出会えた」と回答している学生もいた。

実施にあたって工夫したこと

基本的に4名1組(学生2名と社会人2名)にし、皆が初対面になるように組んだ。1組につき1名のCDA資格を持つファシリテーターをつけた。今回の金の糸は、「キャリアアップセミナー」のプログラムの一つとして実施するため、ファシリテーター間での事前打ち合わせを綿密に行い、キャリアアップセミナーの概要や目的、「人生すごろく金の糸」を行う意義等の共通認識を測った。
当日のオリエンテーションではセミナー全体の達成目標、「人生すごろく金の糸」で身につけてほしいことを丁寧に説明した。特に、同じ経験でも感じ方が異なること、経験の中に自分らしさやその人らしさがあることを強調し、経験に目を向けるように促した。各グループでのファシリテーターは、学生、社会人がなるべく同じ発言量であること、何を話してもいい雰囲気にすることを心がけた。特に学生は、社会人の前で話すことに緊張したり、発言に慣れていない学生も多いため、思ったことや経験を言語化できるように促す等心がけた。また、社会人の中でも得手不得手がある。グループの中でキーパーソンを決めアプローチすることにより、一人ひとりが相手の話に好意的関心を持って話を聞き、自由に発言ができる雰囲気作りを行なった。

学生の達成目標

企業・与那原町役場、大学関係者の皆様へのねらい

実施した成果

実施前には緊張していた学生・社会人も、実施後には柔らかい表情になっていた。
学生の感想では、「新しい自分に出会えることができました。経験豊富な社会人の方々から頂く言葉に今まで知らなかった自分を知る機会になりました。自分の思う自分と他者から見える自分は違うと知り、これからは今までチャレンジして来なかったことに挑戦したいと思いました。また、社会人になっても学び考え続けていくことは大事だということを学びました。」や「自分の性格についてよく考える機会になりました。金の糸の質問に答えるために、小学校や中学校時代を振り返り、自分はどんな考えを基に普段行動をしていて、どんなことを避けてきたのか等を考えていくと、深く考えないで行動することが多いということに気がつきました。そして、それが自分の根本的に良くない部分だなと感じました。しかし、他の人から自分がどう見えているのかを聞いたときに、深く考えないからこそ悩みが少なく、考え込み過ぎない性格だと言うことに気づき、プラスの面もあると分かりました。」等、新しい自分の発見や、積極性や学修意欲の向上も見られた。
社会人からは、「これまでやってきた、どのアイスブレイクより相手のことが理解できて、また距離がグッと近くなった気がした。誰もが経験している小・中・高の出来事を話すことで、幅広い年齢層の人が一気に仲良くなれる良いツールだと思いました。」等の感想をいただいた。
このキャリアアップセミナーは、オンラインでの集合研修3日間、対面による企業での就業実習3日間、チームでの課題制作、約1ヶ月後に実施される対面の課題発表会で構成されている。これからのプログラムの教育効果を高めるためには、社会人が、愛情を持って学生の成長に関わる姿勢が重要であると考える。人生すごろく「金の糸」によって、社会人、学生間の心理的距離を縮め、社会人が学生の成長に愛情を持つ契機になったと感じている。

その他、伝えたいこと

今回の実施を通して、「人生すごろく金の糸」そのものの効果もあるが、複合的に使用することで、期待していた以上の効果を実感した。今回の事例では、積極性や学修意欲の向上、チームビルディングにつながる効果を確認した。「人生すごろく金の糸」をきっかけに、社会人は愛情を持って学生に関わり続け、学生はそのような環境のもと学び続けられたことで最後までモチベーションを保ち続け、結果、高い教育効果を得ることができた。キャリアアップセミナー後も、参加者間の交流は続いており、学生の町内のイベント企画や、社会人(役場、企業、大学)との交流は続いている。

当日のタイムスケジュール

13:30〜14:00 オリエンテーション
(目的・プログラムについて、『金の糸』とは、ルールと手順)
14:00〜14:25 (グループに分かれる)「金の糸」ゲーム体験~小学校編
14:25〜14:35  (全体に戻る)シートの記入・全体感想共有(10分)
14:35〜14:45  休憩
14:45〜15:15  (グループに分かれる)「金の糸」ゲーム体験~中学校編~
※シート記入・感想共有を含む
15:15〜15:50  私の「金の糸」(メモの共有、「金の糸」シート記入、グループ内共有)
15:50〜16:00  (全体に戻る)全体共有・まとめ