<企業での活用事例>内定式グループワーク「金の糸」
代表者名

実施対象者
トヨタモビリティパーツ 株式会社名古屋本部 愛知支社採用内定者
活動の背景、目的
当社は全国に流通網と拠点を持つ自動車部品・用品の商社である。名古屋本部と全国に34の支社を持ち、採用活動は本部と支社ごとに各エリアで行なっている。私の所属する名古屋本部では全国からの応募があり、それ故に採用活動後に内定者同士が接点を持ち親睦を深める機会が少ないという課題があった。そこで内定式の式典後に同期同士でお互いの交流を深めると共に、これから社会人になる自身の 「自己理解」を深めてもらうことを目的とした 『人生すごろく 「金の糸」』のワークを実施している。 私は2022年にCDAとキャリアコンサルタントの資格を取得し、 同年10月に自らファシリテーターとなってワークを行い、それ以来、毎年内定式のタイミングで同じワークを実施してきた。2023年からは普段接点が少ない本部と支社の内定者同士の交流も図るべく、実施の範囲を広げ名古屋本部と愛知支社で合同の開催としている。
活動中の参加者の様子、変化
毎回、3~4名のグループでサイコロの目に沿って過去の経験を語っていくが、全員が同世代のため、例えば流行や学校での出来事についてお互いが共感できる部分も多く、自然と話は盛り上がる。また自分やメンバーのお互いの「金の糸」を探索すべく様々な質問がグループ内で飛び交うことで自然と会話は多くなる。つまり初見の相手で緊張感がある中でも比較的早い段階で打ち解けること、内定者同士で自然と話しやすい空気を作れることもこのワークの良い点の一つであると思う。

実施にあたって工夫したこと
1.事務局に初参加のメンバーがいる場合は実施前に同じワークを部署のメンバーで体験すること。
2.本番ワーク前に事務局メンバーが経験を語る役と聞き手に分かれデモンストレーションを行い、
語り手の自己理解が深まるような関わりをする様子を実際に見せること。
⇒参加者に、どのような話をして、どこまで掘り下げるのかイメージしてもらう
3.各グループに事務局メンバーが入り、内定者に交じって質問を行うことで、ただ話が盛り上がって終わる
だけでなく、自己理解が深まる時間とすること。
4.JCDAの会長だより等、キャリアカウンセリングに関する様々なコンテンツから着想を得て、
ワークを補完する資料の共有と説明を行うこと。
⇒今回は金の糸の起源になったギリシャ神話「アドリアネの糸」の故事を紹介した。
5.ワーク終了後、他のメンバーへのフィードバックシートを書いて渡すが、自分の金の糸は敢えて
後日のFormsアンケートに記載をさせること。
⇒これによりメンバーからのフィードバックを参考にしながら、改めて自分に矢印を向けることが
出来ると考えた。
実施した成果
ワークを通して、初見の内定者同士が関わり合いながらワークを実施したことで当初の目的であった「他者理解」と「自己理解」については一定の効果があったと感じ、参加者のアンケートからも確認することが出来た。
[参加者アンケートの結果(回答者全24名)] ※2024年実施分
・「金の糸」は面白かったですか?
⇒そう思う:20名/24名(83%) ・ ややそう思う:4名/24名(17%)
・「金の糸」はためになりましたか?
⇒そう思う:18名/24名(75%) ・ ややそう思う:6名/24名(25%)
参加者からは「改めて自分について知れたことに加え、一緒に取り組んだグループの人についても知ることが出来たことが良かった。」「自分の価値観を知ることで他者に対して親近感を持つきっかけともなった。」といった声を聞くことが出来た。また「今までやったことの無いワークで、とても新鮮且つ初体験だったためとても楽しく感じた。」という声があり、
初見のメンバー同士で関係構築を行い、他者や自己の理解を深めるきっかけになっていると感じている。
<参加者の『金の糸』(ご参考)>
・「共に笑う」
・「良い意味で諦めが悪いこと」
・「挑戦と努力」
・「好奇心が強い」
・「強い芯を持っている」
・「元気で責任感のある新しいタイプのリーダー」
・「過去を生かし、未来の自分への将来設計ができる」
・「負けず嫌い、苦手をゼロに!」
・「協調性のある人」
・「冒険家」
・「一途に努力」
・「友達、人と人との繋がり」
・「人との交流、仲間思い」
・「真っ直ぐ」
・「負けず嫌い」 ※一部抜粋
その他、伝えたいこと
今回で3回目の実施となったが、内定者向けコンテンツとして「金の糸」のワークは非常に取り組みやすいコンテンツであるということを再認識することが出来た。一方で、「時間が短かった」だとか「自分のことを繋ぐ糸がワークの中で何か見つけられなかった」という声もあった。限られた時間の中という制約もあるが、内定者向けに実施する場合は過去の思い出話で時間が終わってしまうことも見受けられた。学生時代の思い出というテーマであるが故に、そうなってしまうこともある意味仕方がないが、本来は思い出を繋ぐ「金の糸」を明確にし、そこにある「自分らしさ」を見つめることにあると思うので、今後は内定者向けのコンテンツから、例えば新入社員研修等で、社会人へのマインドセットやモチベーションというテーマと絡めて1日のコンテンツに昇華できていければと感じている。そもそも内定者や新入社員のみならず、どのような年代、属性の方でも取り組む意義があると思うので、そのレベルまで高めていくことを目指すと共に、企業の中でキャリアカウンセリングの重要性を広めていくことが自分の使命だと感じている。
当日のタイムスケジュール
ワーク開始前
10:00~11:30 内定式
11:30~12:00 先輩社員との座談会
12:00~13:00 昼食
13:00~13:50 内定者一人ひとりの自己紹介
ワークスケジュール
14:00~14:30 ワークの説明
14:30~15:20 すごろく1回目
15:30~16:20 すごろく2回目
16:20~ 講評 (17:00終了)