りぼら体験談
2022-06-02

がんになったからこその新しい自分

Fさんの場合

私は血液がんで、いずれは骨髄移植が必要な状態です。仕事は訪問看護師でしたが、ある日突然、会社から休職するよう言われました。「コロナも蔓延しているから」「あなたのためだから」とまるで大義名分みたいな言い方で・・・。私は働き続けたいと申し出ましたが、叶えられませんでした。

その後、淡い期待を抱いていた復職への見通しも絶たれ、退職しました。この衝撃的な出来事は、これまでの自分の仕事の評価や態度、姿勢を丸ごと否定されたような感覚にまで私を陥れました。

 

でも、今は気持ちに大きく変化が生じています。がんに罹患した上に仕事も失い、怒りと悲しみのなかで引きこもっていた私を救ってくれたのは「りぼら」でした。たまたま「がんと就労」についてネットで検索していたところ、キャリアカウンセラーとの無料相談にたどり着いたのです。その後「りぼらプログラム」に参加し、カウンセラーやそこで出会った仲間に自分の体験を言語化することで、少しずつですが悔しさや悲しみの中にとどまっていた自分が、次に進みたいと踏ん張っている自分に変化していることに気づいたのです。

「りぼら」で出会った仲間は皆さんがん患者です。もちろんがん種やステージ、境遇等は違います。ですが人生においてがんの影響を受け、自分の気持ちと仕事、生き方にどう折り合いをつけていくかを一生懸命向き合っている方々でした。その中で、私が仲間からかけられた言葉、印象、共感して泣いてくれたあの場面は、全てを否定されたように感じていた暗い時間から「今までの自分でいい」「ありのままの自分でいい」「いろんな自分が存在していていい」と自分を肯定し、大事にできる自分に引き戻してくれたのです。凝り固まった独りよがりの憎しみの感情から「自分だけではない」という他者の気持ちに寄り添える優しい自分が存在する世界にやっと戻って来れたのです。そして、新たな思考と行動を手に入れた私は次に進めます。

 

キャリアって、資格や専門性みたいなイメージがありますよね。でも、キャリアって人生そのものなんだと気づかされました。がんになる前もなった後も私は私。これまで生きてきた中で大切にしてきたこと、軸になっていたことを、りぼらで再確認できた気がします。そしてこれからも人生は続き、キャリアは積み重なります。考えるだけですごくワクワクします。こんな自分に出会えるとは正直思わなかったです。もし、以前の私のようにがんの影響を受けて自分を見失い、立ち止まっている方がいたら、どうか孤独の中にとどまらない方法を選んで欲しいと思います。是非とも「りぼら」で自らの経験を言語化し、他者の経験から感じてください。多方向からの視点を得ることで、がんであることを含めてあなたが生きる上での大切なヒントが見つかると思います。きっと、がんになったからこその新しい自分と思考に出会えると思います。応援しています。

 

スタッフよりひと言:今、Fさんは、新たな職場で、がんのことを伝えた上で働いています。そんなFさんの近況を伺うたびに、私たちが元気をもらっています。