皆さま、日頃から大変お世話になっております。
JCDAの佐々木です。
2026年3月21日(土)、JCDA東海地区会で会員向けの講演の機会をいただきました。
(会場:ウインクあいち・愛知県産業労働センター)
いま、私たちを取り巻く社会は、これまでにないスピードで変化しています。
AIの進化、働き方の多様化、人生100年時代――。
「これからどう生きるか」「どんな働き方を選ぶか」を、誰もが自分自身で考えざるを得ない時代になってきました。
こうした変化の中で、キャリア支援のあり方も大きく変わりつつあります。
今回の講演では、これからの時代に求められるキャリア支援とは何かについて、参加者の皆さんとともに考えました。
CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)は、日本キャリア開発協会(JCDA)が認定する資格です。
誰もが「ありたい自分」を持つという肯定的な人間観をベースに、相談者自身の気づきを大切にしながら、自己概念の成長を支え、「その人らしい生き方・働き方」につなげていくことに特色があります。
現在、全国で約2万2千人の資格保有者が、企業、学校、就労支援、地域など、さまざまな領域で活動しています。
3連休の中日にもかかわらず、当日は70名もの方にご参加いただき、CDAの皆さんの学びへの熱意にあらためて力をいただきました。
開催に向けてご準備くださった皆さまにも、心より御礼申し上げます。
■講演テーマは「開発型」の支援
今回の講演テーマは、
「経済社会情勢の変化が大きい時代に求められる『開発型』の支援とは」でした。
厚生労働省は、2026年1月21日に
「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会」報告書を公表しました。
その中では、キャリアコンサルタントに対して、
労働者が自ら目指す姿を描き、その実現に向けて継続的に取り組む力を身につけられるよう支援すること、
すなわち「開発型」の支援を行う能力が求められると示されています。
少し専門的に聞こえるかもしれませんが、これはキャリア支援者だけの話ではありません。
むしろ、変化の大きい時代を生きる私たち一人ひとりに関わるテーマだと思います。
■世の中の変化は、思っている以上に大きく、早い
いま、社会は想像以上のスピードで変化しています。
AIの進化
働き方の多様化
人生100年時代
価値観の多様化
こうした変化の中で、
「誰かがキャリアを用意してくれる時代」から、
「自分でキャリアをつくっていく時代」へと移りつつあります。
これまでは、組織や社会のレールの上を進む感覚を持ちやすかったかもしれません。
しかし今は、環境の変化そのものが大きく、正解がひとつではありません。
だからこそ、自分で考え、自分で選び、自分なりの歩みをつくっていく力が、ますます大切になってきています。
■「答えをもらう」から「自分で考える」へ
こうした時代の変化は、キャリア支援のあり方にも影響を与えています。
これまでの支援は、
アドバイスをもらう
正解を教えてもらう
問題を解決してもらう
といった関わりが中心でした。
もちろん、それが必要な場面は今もあります。
ただ、これからより大切になるのは、
👉 自分で考え、自分で決めていく力を育むこと
ではないでしょうか。
キャリア支援もまた、
「答えを教える」ことから、
「その人の中にある力を引き出す」ことへと、重点が移ってきているように思います。
■同じ出来事でも、見え方は人それぞれ
講演では、参加者の皆さんにこんな問いを投げかけました。
「あなたにとって、“特に”関心がある社会の変化は何ですか?」
「そして、それはなぜですか?」
同じ「社会の変化」を見ても、関心の向かう先は人それぞれです。
その理由もまた、一人ひとり異なります。
それは、その人がこれまでどんな経験をしてきたか、何を大切にしているかによって、見えている世界が異なるからです。
だからこそキャリア支援では、
「その人がどのように世界を見ているのか」を丁寧に受けとめることが大切になります。
これは支援の場面に限らず、日常の対話や職場での関わりにも通じることかもしれません。
■人は、すぐには変わらない ― 変化の種を信じる
もう一つ、講演の中でお伝えしたかったことがあります。
それは、
人は、アドバイスだけではなかなか変わらないということです。
誰かに言われて「なるほど」と思っても、すぐに行動が劇的に変わることは多くありません。
自己概念の成長には、これまで培ってきたものの見方との葛藤や、試行錯誤のプロセスが不可欠です。
傍目には立ち止まっているように見えても、内面ではこれまでの経験を再構成しようとしている。
その「瀬踏みの時間」こそが、変化の土台をつくる重要なステップです。
だからこそ大切なのは、
自分のペースで気づくこと
迷いも含めて納得すること
「今だ」と思えるタイミングで一歩を踏み出すこと
その揺らぎと成長のプロセスに寄り添い続けることです。
「開発型」の支援とは、
目に見える変化がない時でも、その人の内側で育っている「変化の種」を信じ、土台を育てる関わりなのだと感じています。
そして、私たちキャリア支援者にはもう一つの役割があります。
個人のニーズや「将来的成長の可能性」の視点を、その人を取り巻く環境側(組織やコミュニティ)にフィードバックし、
受け入れ側の意識変革を促していくこと。
それが結果的に、組織やコミュニティの価値向上や課題解決につながっていきます。
この両輪があってこそ、真の「開発型支援」が形づくられていくのではないでしょうか。
■AI時代だからこそ、人にできること
生成AIは、これからますます進化していきます。
情報を集める
分析する
まとめる
こうしたことは、すでにとても得意です。
では、人にしかできないことは何でしょうか。
経験に意味を見出すこと
気持ちを分かち合うこと
対話を通じて、互いの変化を生み出すこと
こうした営みは、人間ならではのものです。
だからこそ、
「誰かにとって、よき存在でありたい」
その思いを大切にしながら、私たちCDAは日々研鑽を重ねています。
■最後に:「I am OK, You are OK」の方向へ
変化の大きい時代だからこそ、
自分を大切にし
相手も大切にし
共に生きていく
そのような在り方が、これからますます重要になるのではないでしょうか。
厚生労働省が示した「開発型支援」と、JCDAが大切にしてきた「経験代謝」は、
いずれも人の可能性を開き、その人自身の成長を支えるという方向を向いています。
これからも皆さまとともに、
そしてこの記事を読んでくださった一人ひとりとともに、
この時代にふさわしいキャリア支援のあり方を考えていければ幸いです。
日本キャリア開発協会(JCDA)
理事長 佐々木 好
参考:
厚生労働省HP(外部リンク)




