甲斐清和高等学校(通信制)で「人生すごろく金の糸」── 高校3年生と振り返る、それぞれの時間
甲府駅前に広がる甲府城跡。その天守跡からは、遠く富士山を臨むことができます。そんな歴史と眺望に恵まれた甲府市にある甲斐清和高等学校(通信制)で、このたび「人生すごろく金の糸」を導入した授業を3時間にわたり実施してまいりました。
◆金曜日は、全員が登校する日
通信制の高等学校ですが、毎週金曜日は全員が登校する日。
朝から多くの生徒さんが「おはようございます」の挨拶とともに、次々と登校されました。
高校3年生は、進路の相談などもあり、毎日通学する生徒さんもいれば、金曜日のみ通学する生徒さんもいらっしゃいます。
そこは生徒さん自身の状況や意思に委ねられているとのことでした。
一人ひとりのペースが尊重されている、その学びの環境がとても印象的でした。
◆小学校時代から、ゆっくりと
初めて取り組む「人生すごろく金の糸」。あらかじめ学校側で3〜4人のグループに分かれて着席いただき、授業を始めました。
まずは小学校時代を振り返るところからスタート。
17歳、18歳の高校3年生にとって、小学校時代はなかなか思い出せず、はじめは話が前に進まない様子も見られました。
けれども、少しの声がけで、ぽつぽつと語り始めると、周囲も「そういえば」と同じことを思い出していきます。
お互いに感化されながら進んでいく──そんな金の糸になりました。
◆中学校時代の、難しさ
中学校時代は、小学校時代よりもさらに難しさがありました
それは「思い出せない」というよりも、「思い出したくない」という気持ちがあってのことなのでしょうか。
あるいは、忘れたい記憶のために思い出すことを拒んでいるのかもしれません。閉口した状態になる生徒さんもいらっしゃいました。
大人であれば、中学生時代の苦しい経験も、時間がかなり経過していることから、いつしか語ることを自分自身に許せるようになっていることもあります。
けれども高校生にとって、それはつい数年前の出来事。
今なお傷心であることも少なからずあり、その時代そのものを思い出したくない──そうした思いがあることを、あらためて学ばせていただきました。
◆振り返る「自分」と、時間の距離
きっと10年後、20年後に、この時代を振り返ったとき、そこからさらに深い経験を積み重ね、ご自身のなかで何かしらの変化があったなら、見え方は変わってくるのだと思います。
「今は話したくない時代」のことも、「あの時代があったからこそ、その後の行動パターンがつくられた」と捉え直すことができるでしょう。
そうしたキャリアデザインが可能になっていくのではないでしょうか。
同じ時代を振り返るとき、それがどれくらい以前の出来事であるかによって、語る内容も、心情も、葛藤も、ずいぶん違ってきます。
そのことが、今回あらためて理解できました。
話したくない自分を、無理に話さない。 それもまた、自分を振り返るための大切な時間なのだと考えました。

◆教室に広がった、さまざまな感情
グループのメンバーについて語り合う時間では、「何かを感じているけれど、うまく言語化できない」という、もやもやとした思いを打ち明けてくださった生徒さんもいらっしゃいました。
一方で、相手に向けて、たくさんの言葉で感動的に伝えている生徒さんもいて、教室のなかにはさまざまな感情が広がっていたように感じます。
◆「ポジティブになる」ことが目的ではない
「人生すごろく金の糸」を体験した振り返りは、決して「ポジティブになる」ことが目的ではありません。
過ごしてきたその場面に確かにいた自分自身の思いを、丁寧に、時系列を追って再現していくこと。
それが自分に与えた影響や、そのときの感情を思い出し、これからの自分の行動の仕方を未来へとつなげていくこと。
そこにこそ、この取り組みの意味があると考えています。

◆感謝を込めて
このたび、人生すごろく金の糸をご体験いただいた甲斐清和高等学校の高校3年生の皆様、この機会をおつなぎいただいた企業教育研究会、そしてお世話になった先生方に、心より感謝申し上げます。
JCDAは、これからも若年者のキャリア教育に関わってまいります。
人生すごろく金の糸(JCDAサイト)https://www.j-cda.jp/goldenthread/




