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「治療と仕事の両立」と聞いて、あなたはどんな風景を思い浮かべますか?
仕事を続けながら治療を受ける人。復職を目指しながら不安と向き合う人。
そして、誰にも打ち明けられず、心の中に葛藤を抱える人。

5月25日(日)、全国のJCDA両立支援推進メンバーが集まり、年に一度の全体会議がオンラインで開催されました。
JCDAに所属するキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントとして、全国の労働局が主催する「両立支援連絡会議」に参加している私たちが、各地であがっている支援情報や取り組み状況を持ち寄り、改めてこの支援の意味を深め合う大切な時間でした。

「誰にも話せなかったことを、初めて言葉にできた」

会議では、JCDAが提供している「30分無料オンライン相談」や、「りぼら・オンライン茶話会」の取り組みから得た経験が共有されました。
「相談を申し込んではみたけれど、『ここでは何を話せばいいんでしょうか?』という方もいます。

不安の中で誰にも言えなかった想いを、そっと口にしてくださる。その瞬間に立ち会うたびに、キャリアカウンセラーの必要性を感じます」
病気の告知や治療は、人生にとって大きな転機です。自分のことがわからなくなり、人とのつながりが見えなくなる。
そんな「見えない」中にいる方たちが、静かに自分の声を取り戻していく過程に、私たちは寄り添っています。

キャリアカウンセラーとしてできること

医療の専門家ではない私たちにできるのは、「その人らしい生き方・働き方」をともに考えること。
時には情報提供や制度の活用支援も行いながら、再び社会とつながる一歩を共に模索しています。
「30分無料オンライン相談」は実際には60分以上かけて行うことが多く、「こんなに話せると思わなかった」と驚かれる方もいます。そこから回数を重ねて「有料キャリアカウンセリング」へつながることもあれば、まずは同じ立場の仲間との対話を通じて安心感を得たいと「茶話会」に参加される方もいます。

私たちキャリアカウンセラーは「病名」ではなく「その人」を見ます。
がんであっても、そうでなくても、治療と仕事の両立には育児や介護、障害や将来の不安が絡み合っている方も多く、画一的な対応などできません。それぞれの「私」と向き合い、その方がどんな人生を選び、どう働いていきたいのかを丁寧に受けとめています。

届いてほしい、本当に必要な人に

2017年から続く「30分無料相談」の利用者は、実はまだ150名に届きません。
「こんなにも必要とされているのに、まだ知られていない」と私たちは痛感しています。
「キャリアカウンセリングって何をするの?」「仕事紹介してくれるわけじゃないの?」
そんな声が多いからこそ、まずは“知ってもらう”ことが課題です。

労働局の会議だけでなく、地域の医療関係者やソーシャルワーカーなど様々な支援者の皆さまとの連携、企業内での啓発などを通じて、JCDAとしてできることを少しずつ、でも確実に広げていきたい。会議では、そんな想いも共有しました。

もし、あなたのまわりに「迷っている人」がいたら

病気や治療と向き合いながら、これからの人生を考えるのは、決して簡単なことではありません。
けれども、その思いや悩みを「誰かと共有する」「言葉にしてみる」という一歩が、大きな転機になることがあります。
私たちJCDAのキャリアカウンセラーは、その一歩を大切に受けとめる存在でありたいと願っています。

※JCDAの両立支援の取り組みの詳細は、JCDAホームページ内「りぼら」特設ページよりご覧いただけます。
https://www.j-cda.jp/ribora/

※「30分無料オンライン相談」・「オンライン茶話会」のご案内、お申込みはこちら
https://www.j-cda.jp/about/hatarakikata/counseling.php
https://www.j-cda.jp/ribora/sawakai/

※参考:厚生労働省 治療と仕事の両立支援ナビ:ポータルサイト
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/