目次
日本キャリア開発協会会長 立野 了嗣 日本キャリア開発協会 会長 立野 了嗣

あけましておめでとうございます。
新しい年のスタートを皆さまはどのようにお過ごしですか。
年の初めにあたって、「ゆく年」を振り返り「くる年」について考えてみようと思います。私が関わっている業務のテーマごとに、昨年までの状況と本年以降の方向性についてお伝えしようと思います。

経験代謝をテーマにした論文

昨年は、個人的には2大テーマがありました。その前年の総会時に、「経験代謝をテーマにした論文を学会に発表する」と学会デビューを宣言しましたが、一つは、それを実行することでした。もう一つは、2016年から月に1度のペースで続けているメールマガジン「会長便り(最初は理事長便りでしたが)」を、目標の100回まで続けることでした。

論文については、総会でそのように発表したものの、論文作成は大学の卒業論文以来の経験で、どのように書くのか、専門学会に出す論文とはどのようなモノなのか、何もわからないところからのスタートで、概要をつかむだけで苦労しました。また、どの学会に出すかも大きな問題でした。この分野のトップマガジンと言われる、NCDAが発行している『The Career Development Quarterly』(CDQ)への投稿を決めました。「最初からハードルが高すぎるんじゃないか」という声もありましたが、経験代謝をテーマとして出すからには当然の目標設定だと思いました。

「論文とは何か」を知ることから始まり、CDQが準拠するAPA方式の細かな規則に沿って仕上げるにあたり、AIの力を借りました。結果は大変助かり、この判断は正しかったと思っています。

先日(2025年11月)無事に書き終え、その後、この分野の専門知識も英語力もお持ちの方に最終チェックを依頼しました。これが運よく2026 年中に掲載されれば、CDQは国際誌でもあるので、これをきっかけに経験代謝の考え方を世界に展開したいと考えています。

メールマガジン「会長便り」

2つ目のテーマは、2016年にメールマガジンとしてスタートした「会長便り」です。毎月1回、10年間継続し(途中半年間のお休みを挟んで)、昨年8月で無事100回を達成しました。今年は、これをまとめて本を出そうと考えています。自費出版です。

原稿はすでにあるとはいえ、そのすべてを掲載するのか、書籍での掲載順序はどうするのかなど、発行にあたって体裁と編集を考えました。まず考えたのは、皆さんに“活用”していただくためにどうするか、ということでした。

私にとって同書の出版は、10年間の記念です。しかしCDAの皆さまには、願わくば折に触れてこの本を開き、その時気になっている事柄について内省していただけるようにしたいと思いました。タイトルを見ても、中身を想像していただくことは難しいものばかりです。皆さんの問題意識との対応もわかりません。そこで、気になる事柄に対応する「会長便り」の回がどれに当たるのかがわかるようなインデックスを作成しようと思いました。インデックスを頼りに検索していただき、対応する回の内容をお読み、考えの参考にしていただけるようにしようと思います。つまり、辞書のようなモノです。「考えるための辞書」「内省のための辞書」です。

原稿の文字数が多いので、2段組みで300ページ近くになりそうです。発売は本年5月くらいを考えています。

キャリアドック

昨年は第7期の募集まで進み、本年は第8期の募集からスタートです。

ただ残念ながら、お申し込み数が少なくなっています。その原因は、事業の仕組み・建て付けに問題がある、と思っています。したがって本年は、仕組みの改善に取り組みたいと思っています。相談者の方も簡単に気軽に申し込め、キャリアカウンセリングを担う担当CDA の方との日程の調整も簡単にできる仕組みをめざそうと思います。

私は当初より、「CDAが担う、CDAの事業」が構想でした。しかし現在は、「JCDAが担う、JCDAの事業」となっているように思います。

“キャリアの人間ドック”「キャリアドック」は、緒に就いたばかり。「キャリアカウンセリングを社会システム(これはJCDAの言葉です)として具体化する」というのがJCDAのビジョンであり、CDAの共通ビジョンだと思っています。

キャリアドックは、社会の中でCDAのプレゼンスを高める総合戦略です。これまでと変わらぬご理解・ご協力をお願いします。

大学生に対するキャリアビジョン研修
「キャリア・アクセラレーションプログラム」

一昨年、東北大学でのトライアル実施から始まった研修が、昨年も引き続き実施され、本年より本格展開に入ります。

実施主体はSENS(センス)株式会社という組織です。大学生に対するキャリア教育を内容とするプログラムで、ワークショップ、キャリアカウンセリング、社会人インタビューの3つの要素で構成されています。この中でJCDAは、キャリアカウンセリングと社会人インタビューの部分に対してSENSに協力するというスタンスで、プログラムの運営を共同で行っています。

この3つの構成要素のうち、キャリアカウンセリングはその中心でもあり、プログラムの特長になっています。現在はJCDA認定のスーパーバイザーの方の中から有志を募ってその役割を担っていただいています。

もう一つの要素である社会人インタビューも同様に、CDA会員の有志の方にお願いしています。

これはキャリア教育です。参加学生に対してキャリア形成意欲の醸成を図ることが目的です。具体的には、彼らが社会人になって以降「何をしたいのか」について、さまざまな方向から考えてみることが内容になっています。

この「キャリア・アクセラレーションプログラム」の展開を通じて、JCDAとしては、大学校でのキャリア教育の実績を積むことで、これまで距離のあった学校でのキャリア教育事業展開の足掛かりを創れるのではないかと考えています。

創業から25年
新しい段階に入って、ふとよぎる言葉

ところで、今年は、CDAが国家資格となって10年目、私が理事長を大原良夫さんに引き継いでもらい、会長に就任したのもほぼ同様の時期でした。そして昨年、大原さんの下で事務局長だった佐々木好さんが理事長に就任。JCDAは創業から25年が経過し、4代目を迎えたわけです。

この間、私自身も、JCDAがCDAの皆さんと共に担ってきたキャリアカウンセリング事業も、ますますの成熟に向けて新しい段階に昇る時期に入ってきたのを感じます。そんなことを考える時に、ふとよぎる言葉があります。

私は数年前、「大事な人を大事にして、今を生きる」という言葉を個人スローガンとし、以降、折に触れてそれを唱えて過ごしてきました。いまだにその意味を考えたりもしますが、最近やっと身の回りの大事な人の大事さ、尊さを実感しています。

言葉と言えばもう一つ、「『自由自在』は仏さんの境地だ、人間の望むべき姿は『他由自在』、他によりて自(おのれ)在(あり)」だという話を誰かに聞いた記憶があります。

私は、「大事な人を大事にして、今を生きる」という言葉と「他由自在」は、つながっているように思います。成熟の段階に入り、再度かみしめたい言葉です。皆さんも気に入ったらお使いください。

 

新しい年が、皆さまにとって素晴らしい年でありますように。


≪表紙画像内の書:大原良夫特別顧問より≫

~書に込められたメッセージ~
『走』・・・「午(うま)」年にあやかって、今年は、ひとつのことに突っ走ってみませんか?
『新』・・・「新」は、スタート、再開、やりなおし、なんでももじれる「新」。あなたの「新」は?