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「キャリアコンサルティングの本質」を考える特別オンライン講演会を開催しました
― 学習ガイドブックから広がる、試験学習と実践へのまなざし ―

2026年5月20日(水)、JCDA主催による「キャリアコンサルタント実技試験 論述・面接 学習ガイドブック」購入者限定の特別オンライン講演会を開催しました。

平日の夜にもかかわらず、多くの皆さまにご参加いただきました。
これからキャリアコンサルタント試験に臨まれる方、再チャレンジされる方、そしてすでに資格をお持ちの方まで、幅広い方々にご参加いただき、キャリアコンサルティングや実技試験に対する関心の高さをあらためて感じる機会となりました。

ガイドブックについて

JCDA公式 キャリアコンサルタント実技試験(論述・面接)学習ガイドブック

講師は、JCDA特別顧問であり、前理事長でもある大原良夫です。

今回の講演は、学習ガイドブック購入者限定の特別な機会として実施したものですので、詳細な内容をすべてご紹介することは控えます。
そのうえで、「キャリアコンサルティングの本質」をテーマに、学習ガイドブックに込められた考え方、論述・面接試験に向き合う際に大切にしたい視点について、少しだけここでご紹介させていただきたいと思います。

試験対策の先にあるもの

キャリア開発の理論や知識を学ぶ中で、働くことや生きること、人が選択していくプロセスやその成長について、視野が広がるような経験をされる方も多いのではないでしょうか。

一方で、それらを目の前の人との関わりの中で、実際に活かすことができるかどうか。

相手の置かれている状況や、これまで生きてきた道筋に思いを馳せながら相手の話を聴く。
その人が何に悩み、何を大切にし、どのような可能性を持っているのかを、ともに探索していく。

それらは、単に知識を覚えればできるものではなく、実践を通じて深め続けていく学びでもあります。

今回の講演でも、論述や面接の学習は、単に「どう答えるか」「どう進めるか」を身につけるだけのものではなく、相談者をどのように理解し、支援者としてどのように関わるのかを考えながら取り組んでいく学びであることが、あらためて確認されました。

“正解”を覚えるのではなく、自分で考える

今回の学習ガイドブックは、いわゆる“正解集”として作られたものではありません。

もちろん、論述試験や面接試験に向けて、押さえておきたい視点や考え方はあります。
しかし、キャリアコンサルティングの場面では、同じ相談内容に見えても、相談者の経験や背景、語られる意味は一人ひとり異なります。

だからこそ大切なのは、決まった型に当てはめることではなく、

「この相談者は、どのような状況にいるのか」
「その人にとって、この経験はどのような意味を持っているのか」
「支援者として、自分は何を理解し、どのように関わろうとしているのか」

を考え続けることです。

講演の中でも、学習ガイドブックを一人で読み込むだけでなく、仲間とともに検討し、自分の見方や関わり方の特徴に気づいていくことの大切さが語られました。

これは、試験に向けた学びであると同時に、資格取得後の実践にもつながる大切な姿勢でもあります。

相談者を「問題」として見るのではなく、「人」として理解する

論述・面接の学習では、「問題把握」や「具体的展開」といった観点に意識が向くことがあります。

もちろん、それらは実技試験においても、実践においても重要な観点です。
しかし、そこで大切なのは、相談者の中にある“問題”だけを探すことではありません。

その人がどのような経験をしてきたのか。
どのような思いを抱えているのか。
何を大切にし、何に戸惑い、これからどうしていきたいと願っているのか。

そうしたことを丁寧に理解しようとする姿勢が、キャリアコンサルティングの土台になります。

講演では、傾聴についても、単に相手に言葉を返す技法としてではなく、相手に関心を持ち、その人の語りに耳を澄ませる姿勢として捉えることの大切さが示されました。

相手に興味を持つこと。
その人の人生の文脈を理解しようとすること。
その姿勢があってこそ、応答や質問、共有といった関わりも生きてきます。

経験代謝と、実践へと続く学び

JCDAが大切にしてきた考え方の一つに「経験代謝」があります。

経験代謝は、単に試験のために覚える知識ではありません。
人が自分の経験を語り、その経験を内省し、そこに自分なりの意味を見出し、次の一歩へとつなげていくプロセスを支える実践的な学びです。

今回の講演でも、キャリアコンサルティングの基礎をしっかり学ぶことの重要性とともに、その先にある実践の深まりについて触れられました。

試験に向けた学びは、資格取得のためだけにあるものではありません。
その先には、実際に人と向き合い、その人の成長や可能性に関わっていく営みと責任があります。

学習ガイドブックを通じて論述・面接試験の学びを深めることは、キャリア支援者としての土台を育てることにもつながっていきます。

AI時代に、人が人を支援する意味

講演の後半では、これからのキャリアコンサルティングの可能性についてもお話がありました。

AIの発展により、情報の整理、選択肢の提示、行動計画の作成などは、これまで以上に簡単に行えるようになっています。キャリアに関する相談についても、AIが一定の助言や整理を行う場面は増えていくでしょう。

では、そのような時代に、キャリアコンサルタントには何が求められるのでしょうか。

今回の講演を通じてあらためて感じたのは、キャリアコンサルティングの価値は、単に早く答えを出すことだけではないということです。

その人の人生の文脈をともにたどること。
経験の意味を一緒に考えること。
その人が自分らしく生き、働いていくための可能性に寄り添うこと。

そこには、人と人との関わりだからこそ生まれる支援の価値があります。

キャリアコンサルティングは、単に「仕事の悩みを解決する」ためだけのものではありません。
一人ひとりが自分の経験を振り返り、自分らしい生き方や働き方を考え、社会とのつながりの中で新たな意味を見出していく。そのプロセスを支える営みでもあります。

個人の成長と、社会へのまなざし

今回の講演では、個人の成長を支えることに加えて、社会へのまなざしを持つことの大切さにも触れられました。

キャリアの問題は、個人の中だけで起きているわけではありません。
働く環境、家族や地域との関係、社会制度、価値観の変化など、さまざまな要素とつながっています。

だからこそ、キャリアコンサルタントには、目の前の相談者を大切にしながら、その背景にある社会にも関心を持つ姿勢が求められます。

一人ひとりが置かれている環境に関心を持つこと。
そして、その人がその環境とつながりながら、自分らしく生きていく可能性を支えること。

それは、JCDAが大切にしてきた経験代謝の考え方や、「共に生きる」という姿勢とも深く重なります。

キャリアコンサルタントを目指す皆さまへ

今回のオンライン講演を通じて強く感じたのは、キャリアコンサルタント試験に向けて学ぶという経験は、決して資格取得のためだけのものではないということです。

試験の準備に向き合う中で、迷うこともあると思います。
自分の解答や応答に自信が持てなくなることもあるかもしれません。

けれども、その迷いや試行錯誤の中にこそ、キャリア支援者としての生きた学びがあります。

なぜ、そう聴いたのか。
なぜ、そのように理解したのか。
そして、自分はどのような支援者でありたいのか。

そうした問いを持ちながら学び続けることが、その先の未来につながっていくのだと思います。

JCDAでは、これからもキャリアコンサルタントを目指す皆さま、そして資格取得後に学び続ける皆さまを支える取り組みを進めてまいります。

まずは、学習ガイドブックを通じて、論述・面接試験の学びを深めていただければ幸いです。
そして、キャリアコンサルティングの奥深さや可能性にも、ぜひ触れていただきたいと思います。

本講演会にご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。
これから試験に臨まれる皆さまの学びと実践を、私たちは心より応援しております。

キャリアコンサルタント試験や、キャリアコンサルティングについて詳しく知りたい方は、以下のページもぜひご覧ください。

▼国家資格キャリアコンサルタントについて

国家資格キャリアコンサルタント試験(日本キャリア開発協会HP)

キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタントについて

キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタントについて(厚生労働省HP)