全国の推進メンバーとともに、治療と仕事の両立支援のこれからを考えました
― 2026年度 JCDA治療と仕事の両立支援推進メンバー全体会議を開催 ―
皆さま、日頃より大変お世話になっております。JCDAの佐々木です。
2026年5月30日(土)、JCDA治療と仕事の両立支援推進メンバーの全体会議をオンラインで開催しました。
JCDAでは、がん、脳卒中、難病など、治療を受けながら働く方々が、自分らしい働き方や生き方を考えていけるよう、「治療と仕事の両立支援」に取り組んでいます。全国の推進メンバーは、各都道府県労働局が設置する地域両立支援推進チーム等への参加や、地域での情報共有、啓発活動、学び合いを通じて、この分野におけるキャリア支援の可能性を少しずつ広げてきました。
治療と仕事の両立支援は、2017年に取りまとめられた「働き方改革実行計画」等を背景に、国としても取り組みが進められてきた分野です。各地域では、労働局、自治体、医療機関、産業保健総合支援センター、経済団体、労働団体、社会保険労務士会、キャリアコンサルタント団体など、さまざまな関係機関が連携し、地域の実情に応じた支援体制づくりが進められています。
JCDAは2017年の第1期から地域両立支援推進チームに、全国に推進メンバーとして選ばれた会員を派遣し、今年で10年目に入りました。
本年度は、現在の第2期推進メンバーにとって最終年度にあたります。冒頭の挨拶では、これまでの4年間にわたり、各地域で活動を続けてくださった推進メンバーの皆さまに、あらためて感謝をお伝えしました。
その中で、公的な枠組みの中に位置づけられ、全国の推進メンバーが会議の場に足を運び、関係各位にJCDAの取り組みを伝え続けてきたことは、キャリア支援者が貢献できる両立支援を社会の中に根づかせていく大切な一歩であったと考えています。
また、2026年4月には、改正労働施策総合推進法が施行され、職場における治療と就業の両立支援の取組が、事業主の努力義務として位置づけられました。制度やガイドラインの整備は、治療を受けながら働く方を支えるうえで重要な前進です。一方で、実際の職場では、病状、治療の見通し、働き方、職場環境、本人の思いなど、一人ひとりの状況に応じた個別の対応がこれまで以上に求められていきます。
だからこそ、両立支援におけるキャリアカウンセリング、キャリアコンサルティングの可能性は、今後さらに大きくなっていくと考えています。
治療と仕事の両立支援は、制度や専門知識だけで成り立つものではありません。もちろん、医療、職場の制度、社会資源、関係機関との連携は大切です。しかし、実際に病気を経験した方が抱える思いは、一人ひとりまったく異なります。
「以前と同じように働けるのだろうか」
「どのタイミングで仕事に戻ればよいのだろう」
「職場にどう伝えればよいのだろう」
「今までの自分と、これからの自分をどうつないでいけばよいのだろう」
そこには、仕事の継続や復職という課題だけでなく、その人がこれまで歩んできた人生、仕事への思い、周囲との関係、これから大切にしたい生き方が深く関わっています。
今回の全体会議では、まず、第2期のこの4年間の活動を振り返りました。
推進メンバーとして手を挙げたときの気持ち。
実際に労働局会議に参加して感じたこと。
当初思い描いていた活動とのギャップ。
その一方で得られた知識、つながり、出会い、そして自分自身の変化。
そして、これからの1年で大切にしたいこと。
一人ひとりが自分の胸の内に向き合い、その後、少人数のグループで語り合いました。
JCDAは人と社会のつながりを豊かにしていく営みとして、「経験代謝」を大切にしています。
経験を語ること、聴くこと、寄り添うこと、問いかけること、分かち合うこと。メンバー1人1人が自身の「経験」から立ち現れる意味を再確認していきます。経験を糧にし、自分と自分を含む周囲がより良い方向に向かえるように、仲間との関わりも成長の機会として考えています。
会議の午後には、各地域での活動事例も共有されました。
JCDAの支部地区会との連携、リレー・フォー・ライフへの参加、エリアを越えた勉強会、地域内での活動チームの立ち上げなど、それぞれの地域で、できることから一歩ずつ取り組みが進められています。
大きな成果がすぐに見える活動ばかりではありません。地域によって状況も温度感も異なります。それでも、全国の推進メンバーが、それぞれの地域で関係者とつながり続け、学び合い、対話を重ねていることは、JCDAらしい草の根の取り組みです。
すぐに大きく展開できなくても、あきらめずに、一歩ずつ前に進めていく。その積み重ねが、治療と仕事の両立支援の土台を少しずつ広げていくのだと思います。
治療と仕事の両立支援は、誰か特別な人だけの課題ではありません。病気や治療は、人生のどこかで誰にでも起こり得るものです。そのときに、働くことをあきらめるか、無理をして働き続けるかの二択ではなく、自分の状態や思いを整理しながら、周囲と対話し、これからの働き方を考えていける社会でありたいと私たちは考えています。
JCDAでは、治療と仕事の両立に関する30分無料相談や、社会復帰を考え始めた方のための就労移行期支援プログラム「りぼら」、キャリアコンサルタント向けの学習機会の提供などを継続しています。
制度を整えることと同じくらい、大切なこと。
対話の場をつくること。
専門職同士がつながること。
地域の中で、支援の可能性をあきらめずに育てていくこと。
今回の全体会議は、全国の推進メンバーがその意味をあらためて確認し合い、これからの1年に向けて、それぞれの一歩を言葉にする時間となりました。
JCDAはこれからも、病気とともに働き、生きる方々が、自分らしい選択を重ねていけるよう、キャリアカウンセリングを通じた支援に取り組んでまいります。
JCDA理事長 佐々木 好
参考:治療と仕事の両立支援をめぐる制度的背景
治療と仕事の両立支援は、病気を抱える労働者が、適切な治療を受けながら、安心して働き続けられる環境を整えることを目指す取り組みです。厚生労働省は、2016年に「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表し、その後、2017年の「働き方改革実行計画」等を踏まえ、地域における連携体制の整備を進めてきました。
▼厚生労働省HP(治療と仕事の両立について):
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html
各都道府県では、労働局を中心に「地域両立支援推進チーム」等が設置され、自治体、医療機関、産業保健総合支援センター、経済団体、労働団体、社会保険労務士会、キャリアコンサルタント団体などが参画し、地域の実情に応じた普及啓発や情報共有、関係機関の連携が進められています。
また、改正労働施策総合推進法により、2026年4月1日から、職場における治療と就業の両立支援の取組が、事業主の努力義務となりました。制度整備が進む一方で、実際の支援には、病状や治療経過、職場環境、本人の思いに応じた個別対応が欠かせません。キャリアコンサルタントは、両立支援コーディネーターの一員として、労働者本人と話し合いながら、職業選択やキャリア形成を支える専門職として、両立支援の現場での役割が期待されています。
▼周知用リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001667374.pdf
▼治療と就業の両立支援指針
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001666819.pdf
▼治療と仕事の両立支援ナビ(治療しながら働く人を応援する情報ポータルサイト)
https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/




