皆さま、こんにちは。JCDAの佐々木です。
国家資格キャリアコンサルタントの資格取得は、多くの方にとって、大きな節目だと思います。
試験に向けて学びを重ね、合格を手にしたときの喜びは、きっと格別なものでしょう。そして少し落ち着いた頃に、「これから、私はどのような支援者になっていくのだろう」という問いが、ふと浮かぶこともあるかもしれません。
実際にキャリア相談などの場に立つと、これまでの学びを土台にしながら、目の前の相談者に向き合い、その方と一緒に考えていくことになります。
相談者が見ている世界を、どのように理解するのか。何を大切にして関わるのか。自分の関わりをどのように振り返り、次の実践につなげていくのか。経験を重ねるほど、支援者自身のあり方について考える機会も増えていくように思います。
だからこそ私たちは、資格を取得した後、誰と学び合い、どこで実践を振り返りながら専門性を育てていくかを、とても大切にしています。
CDAには、人に向き合ううえで大切にしてきた人間観があり、継続的に学ぶための仕組みや、実践を振り返る文化があります。そして、互いに支え合う仲間がいます。
CDAの価値は、そうした全体の中にあるのだと思います。
このたび、キャリア会員からCDA会員へ移行された方々にアンケートを実施しました。寄せていただいた声も手がかりにしながら、CDAとして学び続けることの意味を、あらためて考えてみたいと思います。
CDAと国家資格キャリアコンサルタント
CDAは、Career Development Adviser(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の略称で、日本キャリア開発協会(JCDA)が認定するキャリアカウンセラー資格です。
CDA資格は2000年に認定を開始しました。同じ年に、資格の認定と、会員の継続的な学びを支える団体としてJCDAが設立されています。
その後、2016年に国家資格キャリアコンサルタント制度が創設されました。
CDA資格と国家資格キャリアコンサルタントは、それぞれ別の資格です。現在、CDA資格の認定を受けるためには、国家資格キャリアコンサルタント試験の合格等、所定の要件を満たし、CDA会員としてJCDAに入会する必要があります。また、両資格にはそれぞれの更新制度があります。
国家資格の取得等を土台にしながら、JCDAが大切にしてきた人間観や学びの文化を共有し、キャリア支援者として専門性を育て続けていく。それが、現在のCDA資格の一つの特徴です。
現在、JCDAには、CDA会員やキャリア会員など、全国で2万人を超える会員が所属しています。企業、教育機関、地域、医療・福祉をはじめ、それぞれの立場や地域で、さまざまな形のキャリア支援に関わっています。
「人は誰でも、ありたい自分を持っている」
JCDAが大切にしているのは、「人は誰でも、ありたい自分を持っている」という肯定的な人間観です。
相談者が抱えている問題や課題に丁寧に向き合いながら、その人の経験の中にある思いや意味、自分らしい生き方・働き方を考えていく力にも目を向けていきます。
その考え方を表す言葉の一つが、「経験代謝」です。
経験には、「何が起きたか」という出来事とともに、その人が何を感じ、どのように受け止め、どのような意味を見いだしているのかが含まれています。
相談者が自らの経験を語る中で、まだ十分に言葉になっていなかった思いや意味に気づき、自分自身への理解を深めて成長していく。CDAは、そのプロセスに丁寧に寄り添うことを大切にしてきました。
キャリア支援には、情報提供、選択肢の整理、キャリアシート等の作成支援、相談者を取り巻く環境への働きかけなども含まれます。
こうした支援を相談者にとって意味のあるものにするためにも、まず、その人が見ている世界を、思いやりと好意的関心をもって理解しようとする姿勢が土台になるのだろうと思います。
「CDAマインド」という言葉
会員の間では、よく「CDAマインド」という言葉が使われます。
一つの定義に固定されている言葉ではありませんが、相談者をかけがえのない存在として尊重すること、自分の考えを押しつけず、相手の経験や思いに耳を傾けること、自分自身も学び続けること、そして、仲間と支え合いながら、よりよい社会に貢献しようとすること。そうした姿勢が、この言葉には込められているように感じます。
少し緊張感のある会議でも、「皆さん、CDAマインドでいきましょうね」と声をかけると、その場の空気が少しやわらぎ、皆さんがにこっと笑うことがあります。
きっと、この言葉を聞いて、それぞれに思い浮かぶものがあるのでしょう。
こうした姿勢には、資格や所属を越えて、共感してくださる方も多いと思います。同時にCDAにとっては、長年の実践の中で育ててきた文化であり、自分たちが折に触れて立ち返る場所でもあります。
「CDAマインド」という言葉を、会員の中だけの合言葉にとどめず、人と関わるうえで大切にしたい姿勢として、社会にも少しずつ伝えていきたいと思っています。
学び続ける仕組みと、支え合う循環
社会や働き方が変化すれば、相談者が直面する課題も変わっていきます。
技術の進展、人生100年時代、学び直し、治療・子育て・介護と仕事の両立、組織や地域の変化。こうした複雑な課題に向き合うために、支援する側も学びを重ねていく必要があります。
CDA資格には、5年ごとの更新制度があります。CDA会員は、5年間で100ポイント以上の更新ポイントを取得し、所定の手続きを行うことで資格を更新します。
更新ポイントの対象には、キャリアカウンセリングの実務、研修への参加、ピアトレーニング、啓発交流会、支部・地区活動、レポート執筆など、さまざまな自己研鑽活動があります。
またJCDAには、実践力を高める研修とともに、仲間の学びを支える人、学びの場をつくる人、次の世代を育てる人、指導者を目指す人が成長していくための仕組みがあります。
学んだ人が、今度は誰かの学びを支える。相談者との実践を持ち寄り、互いに振り返る。仕事や家庭の合間を縫って、地域や仲間のために場をつくる。
多くの会員の皆さんが、こうした活動に力を注いでくださっています。私は、これは本当にすごいことだと思っています。
制度があり、そこに一人ひとりの思いや行動が重なることで、学び合いの循環が生まれ、CDAという資格と専門職コミュニティが支えられてきました。
そして、それを支えるのが「倫理」です。
守秘義務を守ること、相談者の選択を尊重すること、自らの役割や専門性の範囲を理解すること、必要に応じて他の専門家と連携すること。
人の人生や働くことに関わる専門職として、知識や技能とともに、倫理と責任を大切にしていきたいと思います。
学びを、社会に伝わる信頼へ
CDAという資格名を名刺や経歴書等に表記できるのは、所定の要件を満たし、CDA会員としてJCDAに登録している方です。
名刺にCDAと記すことは、資格を持っていることを示すと同時に、「これからも学び続け、相談者に誠実に向き合っていきます」という姿勢を社会に示すことでもあるように思います。
JCDAでは2024年10月から、CDA会員・キャリア会員へのオープンバッジの発行を始めました。
オープンバッジは、資格やスキル、学習成果などをデジタルで証明し、オンライン上で共有・確認できる仕組みです。教育機関、企業、資格団体などへ活用の場が広がる中、JCDAでも、資格や継続的な学びを社会から見える信頼につなげる方法の一つとして、活用を進めています。
オープンバッジのような共通の仕組みを活用するとともに、相手が置かれている環境に合わせて、私たちが大切にしていることや専門性を、自らの言葉で説明できることも、とても大切です。
アンケートから見えてきたこと
2026年、JCDAでは、キャリア会員からCDA会員へ移行された方々を対象にアンケートを実施しました。お忙しい中、率直な思いを寄せてくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。
JCDAの「キャリア会員」は、国家資格キャリアコンサルタント等の資格を持ち、CDA資格を持たずにJCDAへ入会している方の会員区分です。
今回の回答から、キャリア会員からCDA会員への移行には、「これからどのような支援者でありたいか」という、一人ひとりの思いが込められていることが伝わってきました。
- キャリア支援者として専門性と信頼性を高めたい
- 学びを実践につなげたい
- 同じ志を持つ仲間と成長していきたい
- CDAの価値を、もっと社会に伝えてほしい。
その一方で、実践の機会をさらに充実させてほしい、研修や講座をより分かりやすくしてほしい、地域による機会の差を少なくしてほしい、といったご意見もいただきました。
これらの声は、これからのJCDAの活動を考えるうえで、大切な道しるべです。
キャリア会員としてJCDAに参加し、学びを続けることも、協会を支える大切な関わりです。CDA会員、キャリア会員、それぞれの目的や状況に応じた参加の形があります。
そのうえで、5年ごとの資格更新とCDA倫理基準を引き受け、CDAとして専門性を社会に示していきたいと考える方には、CDA会員へ移行するという道があります。
今回寄せられた声が、ご自身のこれからを考える方にとって、一つの手がかりになればうれしく思います。
次の25年へ ~CDAの価値を社会へ~
JCDAは、2025年12月に創立25周年を迎えました。
現在、これまで大切にしてきたものを受け継ぎながら、これからの社会に求められるCDAの能力要件と専門性を、あらためて考える取り組みを進めています。
専門性は、言葉に定めた後も、日々の学びや実践の中で少しずつ育ち続けていくものだと思います。
会員一人ひとりの学び、実践、対話、振り返りが、これからのCDAをつくっていきます。
CDAの価値を会員の中で大切に育てながら、キャリア支援を必要とする方、企業、学校、地域、そして、ともにキャリア支援に関わる皆さんにも分かる言葉で伝えていくこと。その言葉に、日々の実践を通じて確かさを重ねていくこと。私たちは、そこに責任を持ちたいと思います。
この記事を読んでくださった方が、CDAの考え方にご自身との接点を感じ、「もう少し知ってみたい」「CDAとして学んでみたい」と思ってくださったなら、これほどうれしいことはありません。
これからも、資格や所属の違いを越えて、キャリア支援に関わる皆さんと学び合いながら、一人ひとりが自分らしく生きられる社会を、ともにつくっていきたいと思います。
JCDA理事長 佐々木 好
関連情報
▼日本キャリア開発協会(JCDA)について





